名前は聞いたことがあるけどよく分からないお酒「ジン」
ウォッカと何が違うの?
そもそもどうやって飲むの?
色んな疑問があると思います。
いろんな疑問は各項目で詳しく紹介していきますが、まず、そもそも、一言でジンとは何か?を言うとこうなると思います。
ジンは無色透明なことから、カクテル作りに重宝されます。
また、ジンの特徴としてあげるのであれば、独特なハーブ系の香りです。
ジンは、作られる過程で様々な薬草や香草(ボタニカル)を漬け込みます。この過程により様々なボタニカルの香りがジンに移り、ジン特有のあの爽やかで複雑な香りになります。
この漬け込むボタニカルの種類も各蒸留所でレシピが違い、ジンと呼ばれるために必ず必要な原料を除いては、蒸留所ごとにジンに使われる原料もさまざま。
各蒸留所でレシピが違うため、ジンってね、面白いんです。
この記事では、どこよりも分かりやすく「ジンについて」を解説していきますので良かったらご覧ください。
ジンの原料
ジンの原料として、外すことが出来ないのは画像の「ジュニパー ベリー」と呼ばれる針葉樹の実(西洋ネズの実)です。
ジンを名乗るためには、必ずこの「ジュニパーベリー」の実で、お酒に香り付けする必要があります。
ここでジンの定義をお伝えします。
ジンの定義とは?
- 必ず「ジュニパーベリー」が使われていること
- ジュニパーベリーの香りがメインであること
- 瓶詰した時点で、アルコール度数が37.5度以上であること
ウイスキーなどと比べてジンの定義はかなり緩いものです。
必ずジュニパーベリーを用いて、この香りをメインとしていれば、他に使うボタニカルの構成までは細かく決められていないのです。
そのため、各蒸留所で作られるジンの原料は様々になり、その香りや味わいの違いも感じられます。
▼ちなみに、ウイスキーの場合、「バーボン」や「スコッチ」など、ウイスキーの中でも細かく名称の定義が変わるので、気になる方はコチラの記事へ
ジンの製造方法
ジンの造り方は、同じ蒸留酒であるウイスキーと似ている部分があります。
ジンの原料は、大麦、ライ麦、とうもろこしなどの穀物です。
これらの穀物を糖化させ、発酵させます。
発酵後、連続式蒸留器で蒸留され、アルコールを抽出していきます。この作業で抽出できたアルコールの液体(ベーススピリッツと呼ばれます)に、先ほどご紹介したジュニパーベリーや様々な香草を入れて24時間漬け込み、お酒にこれらの香りを移します。
香りを移した後に再度、連続式蒸留器で蒸留を行います。(2回目の蒸留)
2回蒸留後、抽出できたアルコールの度数は約80%ほどです。
販売されている多くのジンは40%前後ですが、これくらいの度数になるまで加水して瓶詰めして商品として販売されます。
とはいえ、この造り方も各蒸留所でかなり違います。
ジンの定義さえ守られていればジンとして販売できるので、例えば、本坊酒造さんから販売されている日本のクラフトジン「和美人」は、なんとお米を原料として造られています。
ジンの度数は?お酒の弱い人は飲める?
ジンのアルコール度数は40~50%となり、かなり高めの度数です。
「ビールが5%」「市販のチューハイ缶でも5%~9%」「ワインで15%」このように、他のお酒と比べても高い度数であることが分かります。
なお、同等のアルコール度数の高さがあるのは「ウイスキー」や「ラム酒」です。
▼「ラム酒とは?」が気になった方はコチラへ
お酒が弱い人や普段飲み慣れない人がいきなり「ロックやストレート」で飲むことはオススメ出来ません。
基本的には、トニックウォーターや炭酸などで割って飲んで楽しむのが初心者には向いています。ご自身で作る割合にもよりますが、ジントニックで飲んだ場合、アルコール度数は5%ほどに下がります。
詳しい飲み方は、この後の項目「おすすめの飲み方」で、紹介していくのでご覧ください。
ジンのカロリーは?ダイエット中でも飲める?
ジンは、ビールや日本酒、ワインなどと比べて余分な糖質が入っていないため、これらのお酒に比べると「太りにくくダイエットに向いているお酒」と言われています。
ジンやウイスキーなどの蒸留酒は、蒸留の過程で糖質が除かれ、アルコールの純度が高まります。
そのため、余分な糖質が除かれて、太りにくいと言われています。
ちなみに、カロリーや糖質の詳しい内容はこちらです。
糖質 | カロリー | |
ビール(350ml1缶) | 12g | 140kcal |
ジン(350mlのソーダ割) | 0.3g | 180kcal |
ジンの方が、ビール1缶(350ml缶)よりカロリーが高い!ダイエット向きじゃないような…
カロリーだけで見ると確かに高いです。
が、先ほどもお伝えしたように、ジンは蒸留酒です。
蒸留酒のカロリーは「エンプティカロリー」とも呼ばれ、実質そんなカロリーは無いということが言われています。
ジンなどの蒸留酒のお酒は、摂取してもその70%はすぐに代謝され、また優先的に消費されるため、脂肪として蓄積されにくく、太りにくいと言われています。
そのため、たとえビールと同じくらい飲んだとしても、カロリーは気にする必要はないと言えます。
ジン、ウォッカ、テキーラ、ラムの違い
ジンと似たような名前で「ウォッカ」「テキーラ」のお酒を目にした方も多いはず。
その他にも「ラム酒」もなんとなくは耳にしたこともあると思います。
これらの「ジン」「ウォッカ」「テキーラ」「ラム」は【世界4大スピリッツ】と呼ばれ、全て蒸留酒です。
これらの違いは「原料」や蒸留した後の「貯蔵」方法などにあります。
今までお伝えしたとおりジンは蒸留後、ボタニカルで香り付けを行います。
ウイスキーは蒸留後に樽で何年も熟成してから瓶詰めされます。
これらのお酒とは反対にウォッカは、蒸留後の熟成などを行わずクリアな風味を楽しんでもらうためそのまま瓶詰めされて販売されます。
このような違いがあるのでそれぞれ説明していきます。
ウイスキーはスピリッツの仲間じゃない?
蒸留酒=スピリッツですが、日本では酒税法の関係で、ウイスキーは蒸留酒でありながらこの4大スピリッツに数えられません。
ウイスキーもブランデーも焼酎も蒸留酒だけど、日本ではこの法律の関係で、これらは独立したお酒としてカテゴリーされてるんです。
ウォッカとは?
ウォッカの原料は大麦、小麦、ライ麦、とうもろこし、ジャガイモ、テンサイなどの穀物から作られます。
これらを発酵させ、蒸留後にろ過をし、その後の貯蔵・熟成はされずに瓶詰めされ販売されます。
蒸留後のろ過のおかげで、クリアですっきりとした味わいが特徴。無味無臭・無色なお酒です。
アルコール度数は40%前後ですが、もっとも度数が高いウォッカとして有名な「スピリタス」は、アルコール度数が96%と信じられない度数のお酒もあります。
他のお酒では原料が限定されていることが多いですが、ウォッカではかなり多くの穀物を原料として良いことから汎用性が高く、沢山の国で造られています。
無味・無臭で癖が無いため、カクテル作りによく使われます。
お家でも、ウォッカをオレンジジュースで割るだけで「スクリュードライバー」と呼ばれるカクテルが出来る手軽さも魅力です。
テキーラとは?
テキーラの原料は、メキシコ原産の「竜舌蘭(りゅうぜつらん)」を原料として作られます。
英語表記では、「ブルーアガベ」とも言われます。
見た目は、下記画像のようで、大きなアロエみたいな多肉植物です。
このアガベの球根を採取し、加熱後、発酵させるために甘い液体を取り出し、蒸留します。
蒸留後、ウイスキーやラムと同じように樽熟成される商品が多いです。
アガベは「捨てるところが無い神様の贈り物」と言われ、有名なアガベシロップや油などが精製されたり、葉っぱは干して屋根の藁に加工されたり、様々な活用方法があります。
原料が特殊なことからメキシコ以外で作ることが出来ず、テキーラの定義も凄く厳しく設定されています。
テキーラは、レモンやライムをかじった後に塩を舐めて、ショットグラスでぐいっと一気に飲む一般的な飲み方もありますが、カクテルベースとして使われることもあります。
また、アルコール度数は35~55%の間であること、と厳しく定義されています。
ラムとは?
ラム酒の原料はサトウキビです。
ラム酒は映画、「パイレーツ・オブ・カリビアン」で海賊達がガブ飲みしていたあのお酒です。
度数は40~50%もあるので、実際あんなにガブ飲みできるようなお酒では無いです。
サトウキビが原料のため、他のお酒と比べて甘い味わいとなっており、初めてロックやストレートで飲む飲み方に挑戦したいなら、ラム酒からと思っているくらいにはおすすめなお酒です。
なお、ラム酒について詳しく書いた記事があるので、興味がある方はコチラの記事をご覧くださいませ
ジンの飲み方のおすすめ。何で割ったらいいの?
ジンはカクテルによく使われるお酒ですが、ここでは初めてジンを飲む人向けにおすすめの飲み方をご紹介していきます。
ジンは柑橘系のジュースや炭酸との相性が良いため、主にこれらのもので割って飲むことをおすすめします。
グラスを口元に運んだときの香り、それから口に含んで飲み込んだ後の鼻から抜ける香りや味わいを楽しんでみてください。
ソーダ割り
ジンの香り・味をそのまま楽しんでみたい場合には、まずは「炭酸水」でただ割って飲んでみてください。
割合は最初でしたら「ジンを2割・炭酸水を8割」くらいが良いでしょう。
ただ、ジンの香りや味わいが感じられないくらいジンの量を薄くしてしまうと、逆にジンの苦味だけ立ってしまって美味しくないと感じてしまうため、このあたりは飲んでみて調節してみてください。
もし、「ちょっとクセがあって飲みにくい」と感じたら、ライムやレモンをしぼって飲んでも相性が良いですよ
ジン+ライムジュース+炭酸
ライムやレモンを絞ったり、切ったりするのが面倒な人には市販の「ライムジュース」を買ってきて少し入れて飲むのもおすすめです。
比率は「ライムジュース1割・ジン3割・ソーダ6割」でよいです。
ライムジュースを入れすぎると酸っぱいのと、ライムの香りがジンに買ってしまうので、ジンを楽しめなくなってしまいます。
トニックウォーターで割る「ジントニック」
お酒に疎い人でも「ジントニック」という名前だけは聞いたことがあるかもしれません。
ジントニックは、ジンをトニックウォーターで割って飲むだけです。
トニックウォーターは、ほんのりとした苦味と甘みがついている炭酸水とイメージしてもらえればと思います。
甘党の人は、トニックウォーターのほんのりとした苦味でも「苦い」と感じると思います。
私は甘党ではないんですが、お酒を好きになり始めた最初の頃は、トニックウォーターの苦味が少し苦手で慣れるのに少し時間がかかったので、もしかしたら炭酸割りの方が向いている方もいると思います。
ジンって冷凍庫保存ができるって本当?
ジンは冷凍庫に入れて保存しても凍りません。
アルコール度数が高く、冷凍庫に入れていてもバキバキに凍ることはなく、少しだけトロッとするくらい。
そのため、夏場は冷凍庫に入れて保管し、暑い日にはキンキンに冷やしたジンをロックで飲むというのがめちゃくちゃ美味しいですよ。
まとめ
最後に、ここまでジンについてご紹介したことを簡単にまとめます。
今までジンに興味が無かった人も、この記事を読んでジンの魅力に触れてもらえたら嬉しいです。
また、実際に飲んだことがあるクラフトジンについて、下記の記事で紹介しているので、気になった方はご覧くださいませ。
■宮城県で作られているクラフトジン「欅(けやき)」についての記事はこちら
■クラフトジン「赤鳥居を飲んでみた」記事はこちら
とはいえ、飲みすぎは良くありません。
お酒を飲みすぎると、肝臓で過剰に中性脂肪が生成され、太ります。
また、アルコールを優先的に消費するということは、お酒とともに食べたおつまみのカロリーは後回しで消費が始まるため、結果的におつまみ分のカロリーが消費しきれず太りやすくなるという説も。。。
この「太る」というメカニズムもそれぞれの生活環境や体質もあり、一概にお酒だけに焦点をあてて「太りやすい」「太りにくい」と断言しづらいのが正直なところでしょう